【仙台市】華道のルーツは聖徳太子。太子没後1400年の大遠忌期間に華道家元池坊いけばな展「和と美」を仙台三越にて開催。
華道の起源
いけばなの起源は古く、そのルーツは飛鳥時代にまで遡り、現在の華道の形になったのも室町時代だそうです。
華道最古にして最大の家元である「池坊(いけのぼう)」の名称は、誰もが知る歴史的人物「聖徳太子」が沐浴した池に由来するそうですよ。
聖徳太子が創建した京都六角堂に、住職が仏前に花を手向けたのが始まりとされる華道。
代々六角堂(紫雲山頂法寺)の住職が池坊の家元を兼ね、現代まで脈々と「和」と「美」の精神を受け継ぎ、世に広めています。
「和と美」
2021年が聖徳太子大遠忌1400年の年にあたり、華道家元池坊では、2021年11月から2022年10月を大遠忌期間とし、現在は仙台三越で大遠忌記念展「和と美」を開催しております。
聖徳太子の逸話などをテーマにしたいけばな、六角堂に伝わる太子の資料や仏教といけばなを繋ぐ「三具足」の展示、太子といけばなのエピソードなど、大遠忌を記念する貴重な展示をご覧いただけます。
現家元の「池坊専永」氏の作品、そして初の女性家元となる次期家元の「池坊専好」氏による作品は、150cm以上にも及ぶ大作となっており圧巻です。
また、新企画の「いけばな植物園」では、作品を様式別ではなく植物の種類ごとに展示するという植物園を模した展示法により、新しい視点からもいけばなを楽しむことができます。
2日ほどで作品の入れ替えをしながら、延べ250点ほどの生きた芸術作品を目の当たりにできます。
出瓶者について
教授席から学生席まで実に200名以上の、世代も様々な方が出瓶されています。
「和と美」開催初日の4月20日には、華道家元四十五世池坊専永氏が来場しており、出瓶者の作品に賞賛と労いの言葉をかけておりました。
作品に込められた想いやエピソードなどを何名かの方にお伺いすることができました。
泉田幸子さんと大森信子さんは、東日本大震災で甚大な被害を被った陸前高田支部の、それぞれ副支部長と支部長をお務めだそうです。
震災時、支部会員の中にも犠牲になられた方々がいて、辛い時期を過ごされたとのこと。
お花を活ける会場ですら確保が難しかったそうです。
そんな中でも、花を活けることを楽しみとしている方々のため、個人のお宅、福祉施設、コミュニティーホールなど、活動拠点を転々としながら何とか会場を確保し、現在まで地道に活動を続けてきたそうです。
この素晴らしい文化を絶やすわけにはいかないとの想いから、学童教室や老人福祉施設などでいけばなのイベントを開催したりと、「花を活ける喜び」を皆さんに伝えるのを使命としているそうですよ。
泉田さんの作品は、色味がとても優しくまとまっております。
ステンレスでできた銀色の2つの器を、同色のミラーシートで天橋立のように美しく繋いでおり、オーバル型に切り抜かれた土台は鏡のように活けたお花を映し出し、まるで逆さ富士ならぬ逆さ花のようで大変工夫された活け方をされておりました。
こちらは大森さんの作品。
凛とした美しさ、ブレない決意のようなものを感じます。
いけばなと聞くと敷居が高く感じてしまいますが、お2人は「いけばなは本来とても身近なもの。気軽に体験できるワークショップなども開催しているので、若い世代の方にもぜひ興味を持ってもらえたら」と話しておりました。
そしてもう1人。
仙台支部の佐藤玲花さんは、亡き御師匠からの形見の器で臨んだそう。
東北の花のカテゴリでの出瓶だったことで、素材に何を用いるかかなり悩まれたようです。
そしてアンスリウムに決めてからは、はるばる福島県川俣町山木屋地区の「とんやの郷」まで花の見学に行き、この展示会に用いる花の買い付けをお願いしたそうですよ。
作品で表現したかったのは「コロナの部屋ごもり」。
極細のビニールストローを用いて、外へ向けて何かを放出する様子を現わしています。
そして青いカラーは、ウクライナでの終息と平和への願いを込めているそうです。
草花の活け方ひとつで、植物の持つ力、時の移ろい、漲る生命力、その時に起きている時事現象や想い願いなど、様々なものを表現できるいけばな。
活けるに至った背景を知るとなお興味深く見ることができます。
深く知れば知るほどいけばなって面白いですね!
展示会場外には「池坊物販コーナー」もあり、華道の道具や池坊オリジナルデザインの和菓子などを購入することができます。
仙台三越で開催中の「和と美」は、2022年4月25日(月)まで。
ぜひ皆様もご覧になってみてください。
仙台三越本館はこちら↓